curs_add_wch(3x) curs_add_wch(3x)
add_wch, wadd_wch, mvadd_wch, mvwadd_wch, echo_wchar, wecho_wchar - 複合文字とその色と属性を curses のウィンドウに追加し、 カーソルを進める
#include <curses.h> int add_wch( const cchar_t *wch ); int wadd_wch( WINDOW *win, const cchar_t *wch ); int mvadd_wch( int y, int x, const cchar_t *wch ); int mvwadd_wch( WINDOW *win, int y, int x, const cchar_t *wch ); int echo_wchar( const cchar_t *wch ); int wecho_wchar( WINDOW *win, const cchar_t *wch );
add_wch, wadd_wch, mvadd_wch, および mvwadd_wch の各 関数は、複合文字 wch を指定のウィンドウの現在位置に書き込ん だ後、現在位置を進めます。 これらの関数は、行の折り返しと特殊文字の処理を次のように行 います。 o wch がスペーシング文字を指す場合は、その位置に以前から あるどのような文字も削除されます。wch によって指定され た新しい文字がその場所に wch で指定された色と属性で置か れます。その後、カーソルを画面上の次のスペーシング文字 まで進めます。 o wch が非スペーシング文字を指す場合は、その位置に以前か らあるどの文字も保存されます。wch の非スペーシング文字 はスペーシング複合文字に追加され、wch で指定された色と 属性は無視されます。 o wch の文字部分がタブ、改行、バックスペース、もしくは他 の制御文字の場合は、ウィンドウが更新され、カーソルは addch が呼ばれたかのように移動します。
echo_wchar 関数は、add_wch を呼んだ後に refresh を呼ぶこ とと、機能的に同じです。同様に、wecho_wchar 関数は、 wadd_wch を呼んだ後に wrefresh を呼ぶことと、機能的に同じで す。 1つの文字だけが出力されるという知識は考慮され、そして、非 制御文字に対しては、等価な関数よりも *echo* を使うことで相 当な性能の向上がみられることがあります。
addch_wch は curs_addch(3x) のように、罫線を簡単に表示す るための記号やその他のよく使われる特殊文字を受け入れます。 これらの記号は curs_addch(3x) と同じく、VT100 罫線素片集合 に対応しています。 名前 Unicode デフォルト 説明 ---------------------------------------------------------------- WACS_BLOCK 0x25ae # 正方形ボックス WACS_BOARD 0x2592 # 矩形のボード WACS_BTEE 0x2534 + 下ティー WACS_BULLET 0x00b7 o 黒丸 WACS_CKBOARD 0x2592 : チェッカーボード(点描) WACS_DARROW 0x2193 v 下向き矢印 WACS_DEGREE 0x00b0 ' 度記号 WACS_DIAMOND 0x25c6 + ダイヤモンド WACS_GEQUAL 0x2265 > 以上(不等号) WACS_HLINE 0x2500 - 横線 WACS_LANTERN 0x2603 # ランタン記号 WACS_LARROW 0x2190 < 左向き矢印 WACS_LEQUAL 0x2264 < 以下(不等号) WACS_LLCORNER 0x2514 + 左下隅 WACS_LRCORNER 0x2518 + 右下隅 WACS_LTEE 0x2524 + 左ティー WACS_NEQUAL 0x2260 ! 等号否定 WACS_PI 0x03c0 * ギリシャ語のパイ WACS_PLMINUS 0x00b1 # プラス/マイナス WACS_PLUS 0x253c + 罫線素片中央(十字形) WACS_RARROW 0x2192 > 右向き矢印 WACS_RTEE 0x251c + 右ティー WACS_S1 0x23ba - スキャンライン1 WACS_S3 0x23bb - スキャンライン3 WACS_S7 0x23bc - スキャンライン7 WACS_S9 0x23bd _ スキャンライン9 WACS_STERLING 0x00a3 f ポンド記号 WACS_TTEE 0x252c + 上ティー WACS_UARROW 0x2191 ^ 上向き矢印 WACS_ULCORNER 0x250c + 左上隅 WACS_URCORNER 0x2510 + 右上隅 WACS_VLINE 0x2502 | 縦線 ncurses のワイド文字環境設定は、太線および二重線の記号も 定義しています。 名前 Unicode デフォルト 説明 --------------------------------------------------------------------- WACS_T_ULCORNER 0x250f + 太線左上隅 WACS_T_LLCORNER 0x2517 + 太線左下隅 WACS_T_URCORNER 0x2513 + 太線右上隅 WACS_T_LRCORNER 0x251b + 太線右下隅 WACS_T_LTEE 0x252b + 太線左ティー WACS_T_RTEE 0x2523 + 太線右ティー WACS_T_BTEE 0x253b + 太線下ティー WACS_T_TTEE 0x2533 + 太線上ティー WACS_T_HLINE 0x2501 - 太線横線 WACS_T_VLINE 0x2503 | 太線縦線 WACS_T_PLUS 0x254b + 太線罫線素片中央(十字形) WACS_D_ULCORNER 0x2554 + 二重左上隅 WACS_D_LLCORNER 0x255a + 二重左下隅 WACS_D_URCORNER 0x2557 + 二重右上隅 WACS_D_LRCORNER 0x255d + 二重右下隅 WACS_D_RTEE 0x2563 + 二重右ティー WACS_D_LTEE 0x2560 + 二重左ティー WACS_D_BTEE 0x2569 + 二重下ティー WACS_D_TTEE 0x2566 + 二重上ティー WACS_D_HLINE 0x2550 - 二重横線 WACS_D_VLINE 0x2551 | 二重縦線 WACS_D_PLUS 0x256c + 二重罫線素片中央(十字形)
すべてのルーチンは、失敗すると整数 ERR を、成功すると OK を返します。 mv で始まる関数は、最初に wmove を使用してカーソルを移動 し、位置がウィンドウの外だった場合、またはウィンドウポイン タがヌルの場合にエラーを返します。
add_wch, mvadd_wch, mvwadd_wch, および echo_wchar はマクロであるかもしれないことに注意してください。
これらすべての関数は、 XSI Curses standard, Issue 4 に記 述されています。POSIX ロケールでは、罫線文字等に対して指 定されたデフォルトが適用されます。 X/Open Curses は、例えば border_setの議論で、 WACS_ 記号 は cchar_t 型データへのポインタとして定義するべきだとはっき りさせています。 いくつかの実装は次のような問題の種をはらんでいます。 o NetBSD curses は記号を cchar_t の中の wchar_t として定 義しています。 o HPUX curses はいくつかの ACS_ 記号を WACS_ 記号の類似物 として、あたかも ACS_ 記号がワイド文字であるかのように 同等視しています。定義を誤った記号は、罫線に使われない 矢印その他の記号です。 X/Open Curses は太線と二重線の記号を定義していません。 SVr4 curses の実装は罫線記号を中間記号の観点から定義してい ます。この実装はこれらの記号を拡張し、SVr4 の実装とは異なる 新しい定義を与えています。
curses(3x), curs_addch(3x), curs_attr(3x), curs_clear(3x), curs_outopts(3x), curs_refresh(3x), putwc(3) curs_add_wch(3x)